形を歌わない、演じて形だけにならないために、全てをゼロに戻して再構成する必要があります。実として身につけ、出すためです。
個性の強い歌い手は、役者のように自分を中心として、歌を再デザインします。自ずとそうなるのです。
日本では、役者の歌は音楽性で欠けるものが多く、全体の流れの構成、展開を無視して、自分の呼吸で音楽の呼吸を妨げる、つまり、彼らの強みであることばとその感情表現で、力づくでステージを成立させてしまいがちです。
しかし、それはリピートの効果を損じます。背景の絵を台無しにしてしまうのです。だまっていてももっとたくさん伝わる効果があるのを、一人で全てやろうとがんばってしまうのです。フランク・シナトラやイヴ・モンタンのように完全な両立をなしえた人との違いです。
これはレッスンで変えることができます。表現力の基礎があれば、力の配分を加減すればよいからです。その前に声楽で高音域のマスターをしておくこと、歌の構成を入れることです。声そのものは、コントロール力の問題です。