アレンジャーは、アレンジで効果をつけるのですが、ヴォイストレーナーは声でやるのです。それは、ずいぶんとクリエイティブなことです。こう歌えばいいというのなら簡単です。そんな付け焼刃で通じるのなら演出家やプロデューサーに任せればよいのです。
可能性とは、材料を渡して何かが出てくるのを待つのですから気の長い話です。すぐ役立つアドバイスなら、すぐに変わるけど、根本的には歌い込みでしかわからないことを先取りできません。あとで役立つ材料やどう役立てられるか、まだわからないものを与えてこそ、ヴォイトレの仕事といえるのです。
欲をいえば本人が100パーセント完全、あるいは自分の全力でこれが限界というものをあげてからが、本当の仕事といえるのです。