「あらゆることを説明できる理論や方法はない」これは科学的に、理論的に取り組むときに必要な考え方です。わからないもことに対して、精神的なアプローチで物足りなさを感じる人は、たやすく“科学的”や“理論的”なことにとりつかれ、だまされてしまいます。これこそが20世紀を通じて学んだ真理であったと思うのです(オウム真理教や日本赤軍などの残した教訓です)。
ここのところ、他のスクールやトレーナーからいらっしゃる方が多くなりました。「安易な方法や実践では1、2年も続かない」ということです
表現者やパフォーマーとしては、それなりの実践力のある人でも、他人を教えると、安易な勘違いをするものです。
トレーナーは、なりたての頃は、こわごわと生徒に接します。自分の考えややり方が他の人に通じるのか、自信がもてないからです。他人に伝えてどうなるのか、誰からも学んだことのない、現場での叩き上げの人ほど不安に思うのです。
この不安が、本当はとても大切です。これが直観的にすぐれたものと結びついています。いつまでもその初心のスタンスを保持することが大切なのです。
熱心に他の先生に学んだり、本をたくさん読んだ人は、ときとして、この不安という素直さから入れなくなります。自信満々になっていく人ほど、やっかいなのです。
自分が学んだことを試したくてたまらないからです。自分はできる、だから他の人も「もっと早く楽にうまくできる」ということで、熱意をもってがんばります。「自分の言う通りにすると、自分のようにできるはず」という根拠での実績のない自信は、自分の成果さえ見誤る最大の要因となるのです。