発声とか歌とかが正しいかなどを問うのはありません。いかに声の状態を把握できているかを問うていくのです。正しくというよりは、その把握の精度を少しずつ深めていくのです。
私はあなたの声の「ハイ」だけで100のマップ(声の図)を描けるでしょう。歌の声なら「わたしは」という1フレーズの歌詞だけで、声の状態から、歌としてのよしあしを「わ」について「た」についてと、点数もつけられます。プロの歌手が聞いて納得するだけの説明ができるでしょう。聞く耳のある人であればですが…。
私自身の見解を示すとともに、必要であれば、他の一流の人の耳ではどう聞こえるのか、その相違をことばにすることもあります。
場合によっては、本人がどういうつもりでどのようにやろうと試みて、その結果、どこまでうまくいき、どこでだめだったかを、本人に説明するでしょう。高度な仕事上の能力ですが、私はレッスンを通じて、そういう耳の力をつけさせるようにしています。