「レッスンはチェックである」とすると、今の状況、状態を把握して、そのズレを修正することです。そこでは、プロの調整も素人への調整も、本来の形に戻す点で同じことです。しかし、そのこととともに、その上で将来のベストのための条件づくりをトレーニングとして課す必要があります。
それをほぼ毎日実行することで、外からより、内より変化させていかなくてはなりません(一般の人がプロになるための条件)。
外国語学習なら、レッスンで発音を直され、不足している単語、イディオムや文法、構文を教えてもらい、毎日復習し、暗記し、無意識に口に出て使えるところまで慣れなくては、本当に使える実力とはなりません。
しかし、復習しなくてもレッスンだけで覚えられる人もいます。効率さえ無視してよければ、毎週1回のレッスンでも、10年経てばそれなりになります。
言葉も声も歌も、特別に日常と切り離されていないものです。レッスンがなくても日常でその要素がたくさんあれば、あるいは、それを取り込むことに、その人がすぐれていたら、力がついていくこともあるのです。それゆえ、声や歌はレッスンとトレーニングの位置づけが、曖昧であるといえます。
ヴォーカルのヴォイストレーニングと素人の調整トレーニングも、一流のプロ(特に海外など)の行う調整トレーニングと似てきます。そして、正しいとか、効果があるとなってきます。
確かに力を100パーセント出せるように戻す分には似たやり方になります。言うまでもなく、10の力がない素人が100パーセントの力を出しても10です。100の力のあるプロには通じません。プロは1/10で素人のベストが出せるのです。ヴォイトレで大切なのは、10を100にするためのトレーニングではないのでしょうか。