自分の声は消していけない。しかし、今の声ではいけない。自分本来の声を取り返さなくてはいけない。「―いけない」を使いたくないのですが、「いけない」からやり始めるのも、動機の一歩です。
自分の声、体というものはどうなっているのか、精神、心、頭など、いろんなものとどのように関わっているのか、を問うのです。声と向き合うには、声だけでなく、声と関わる時空のことと対峙すること、常に時代に巻き込まれざるをえないのです。
今の日本の生活で失われた声、歌、ことばを、失われつつある声と、声の創り出してきた芸能を考えるときに、自らの声、体を把握するのは当然のことでしょう。しぜんなところで服を脱ぎすてたら、本来の声が出るのか、是非やってみてください。
ワークショップでは、かつては、幼い頃へ戻して、素直な声を取り戻させました。童謡や唱歌もわらべ歌もそのきっかけとして使いました。しかし、今の日本人には取り戻せる声がどこにあるのでしょうか。生まれてから使ってきた声というのがあるのでしょうか。既成服をオーダーメイドにしていくのです。