「なぜ時代劇は滅びるのか」(春日太一著、新潮新書)には、歌謡曲と通じる問題が問われています。著者は、時代劇の凋落は、つまらなくなったTVによって1970年代後半、古臭い表現と高齢者向けのジャンルという固定観念が植え付けられたためといっているのです。
伝統芸能に対して新しく出てきたのが時代劇であり、海外から入ってきた翻訳ものが新劇だったのです。歌舞伎は、まだ持ちこたえているし、韓流ものは、日本でも大ヒットしました。私も、現代ものはみないとはいえ、歴史ものは楽しんでいます。生身の人間の迫力、動きや声でもつのです。大河ドラマはみない。それは、ブロードウエイと劇団四季との差のようなものです。
「役者の新たな魅力をみせる」にも役者がいなくなりました。1990年代、役所、真田、中井、渡辺謙あたりで終わっていると、著者は言います。また、名脇役や悪役もいなくなりましたと。
こういう批評が若い人(1977年生まれ)から出てくるのです。
その後、人気タレントの演技力のなさ、「声は高いし細い」は作り込みのなさ、演じているのでなく、こなしているだけで、わかりやすくおもしろいに堕してしまったというわけです。ここまで、ほぼダイジェストでした。