私は、心を奪われるなら、別世界のままであってもよいと思う、いや、非日常だから当然そういうものだと思うのです。一方で、歴史も地域も背景も全く異なったところでつくられ、輸入され、好まれてきたものがたくさんあります。その一つが、クラシック音楽です。
宝塚歌劇や劇団四季も似たようなものでしょう。それは、映画のように別世界をみせてくれる。クラシックといえばバレエもそうで、凡人にはできない特殊な身体の使い方で、人間の可能性を美しく演じてみせてくれるわけです。
そこで声を考えてみます。人間の声の高遠な可能性の一つであるオペラから、誰もがアプローチできるように声楽メソッドをつくられてきたのです。ポピュラーやカラオケは、庶民的ですから、そういうのは出てこなかった。まあ、ヴォイトレはヨーガ、禅、合気道のようなものと捉えてよいでしょう。絶対に必要というものではないものです。