例えると、早口ことばで滑舌をよくするみたいなメニュです。私たちも入門用に使っていますが、それを2週間やると、大抵は淀みなく話せるようになります。なったところで大した力となりません。
表現力としては、全く変わっていないし、声も変わっていない。ただ、つっかかっていたところがつっかからない、それで達成感と上達つの実感があります。素人のなかで披露したら感心される手品セットのようなものです。
それを、プロのマジシャンの一歩とみるのか、素人芸とみるのかは、その人のその後の歩みによります。そもそも手品セットで売られていることに限界があるのです。マジシャンでなくとも、その種は少し学んだ人には知られているからです。
でも、人前で、自分も楽しみながら人を楽しませることはできます。小さいながらもエンターティメントです。映画の「バクダット・カフェ」を想い出します。そこでプロ並みの大掛かりなマジックに進化しました。
つまり、手品を、仕掛けを知ればできるツールとみるか、相手の心理からコミュニケーションまで学び、自分の身体でのパフォーマンスとして磨かなくてはできないものとしてみるかでは、違います。ヴォイトレも似たようなものです。が、案外と、「その手品セットいくらですか」みたいな質問がくるのです。