世の中には、たくさんの曲を知っている人もいれば、いろんな発声法や声の出し方、ヴォイトレの技術、メニュを知っている人もいます。これまで本や論文でしかみなかったのが、ネット社会になって、マニアのいろんな説を目にするようになりました。
私は、マニアではないので、ネットで全てを集めるほど興味や関心はありません。数や量は、質を求めて行き詰ったときの一つの方便にすぎません。アーティストの名や曲、歌をマニアの人より知らないし、日本の歌手でさえ、もっとも忙しかった1990年代は、一般の人よりも聞いていませんでした。
私が求めるものは、どんな声でも出せるようになったり、声の分類をして組み合わせて新しい声をつくるようなことではないからです。求めたいのは、自らの生命力になる表現の媒体としての声です。なので、質の悪いのはいくつあっても不要、最高の一つがあればよいと思うのです。