2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧
プロデューサーやアレンジャーに近い人は、作品中心で、流行に翻弄され、ヴォーカリストや役者の体やのどから声を考えられません。将来の可能性よりも、今の状態での使いやすい声やバランスのよい声を選びます。日本人をみる外国人トレーナーもこの傾向が大…
ポピュラー歌手は10人ほど声を考えるだけで、その声や使い方の多彩さはわかるでしょう。ポピュラーや役者の声は、声楽で定められた条件よりもずっと自由なのです。日常にも近い声です。 多くの場合、声楽やヴォイストレーニングのトレーナーの理想とする歌手…
最初は一人のトレーナーで基礎を固め、それが身についたらようやく、他のトレーナーにみてもらうというのは、声楽によくある考え方です。昔は、自主トレも禁じて、トレーナーの前でのみ、発声させて、学ばせるというスタイルもありました。 彼らは、目的のた…
私が日本人の歌手や役者に決定的に欠けているとみなしていたのは、 1.力強さ、タフさ 2.完全なコントロール力、ねばり 3.声としてのオリジナリティ 4.演奏としてのオリジナリティ 5.即興力 ほかにコーラスや構成、展開、全体を統一する力などもあります…
声の改革というのなら、あらゆるごまかしや不鮮明なところを白日にさらし、一時、バランスを崩してでも、問題点を顕わにすることです。そして解決のための課題を鮮明にしていくことです。 そこに声以外にも、アーティストのオリジナリティや表現とも絡むこと…
歌唱指導では、ポップスにおいては全体のバランスをとり、演奏のラインからはみ出すことを防ぐことがメインになっています。客に下手に思われる要素があれば、隠さなくてはなりません。その上できちんと構成し、聴かせどころを強調し、曲の輪郭をハッキリさ…
私はプロの歌唱、それもステージを控えてのアドバイスからこの仕事を始めたからよくわかります。 すぐ本番を迎える歌手に、根本からの発声トレーニングは、リスクが大きすぎます。シーズン中にバッティングフォームの改良をするようなものです。できるのは、…
自分へアドバイスする人が複数であることで迷うとしたら、大切なことなのです。こういうことは、すぐに解決しようとすべきことでないし、できないことを知っていれば、あせる必要はありません。レッスンには、解決するのでなく、問いを求めにくればよいので…
まとめると、学ぶことは、次のようになります。 a体と結びついた声-ブレスヴォイストレーニングの声づくり(声楽の体づくり基礎) bことばと結びついた表現「モノトーク」 c音楽と結びついた歌唱(カンツォーネ)フレーズ、リズム、感覚 カンツォーネをイタ…
どれだけ歌で伝わっているかは、わかりにくいでしょう。本人自身が、歌で伝わっていないことがなかなかわからないのです。 マクドナルドでの「いらっしゃいませ」程度にしか、伝わっていないこともわからないのです。それではトレーニングにもならないし、ト…
あるとき、私は歌唱ではまだまだ表現できない人でも、2分くらいのモノトーク(日本語でのトーク)では、人に充分に伝えることができることに気づきました。そこは生活、実体験に結びついたことばがでてくるからです。そこでそのなかからの表現力をみることに…
日本では英語で歌えれば、英語の発音が正しければOKという形での評価が、幅を効かし、表現が忘れられてしまうのです。 日本の歌でも似ています。合唱、ニューミュージック、J-POPS、演歌、邦楽はなぜ、時代を超え、日本を超え、世界のスタンダードにならなか…
楽器に対して、決定的に歌が有利なところは、次の二点です。 1.人間の声である 2.ことばで意味を具体化できる 日本人で英語でジャズを歌っている人は、英語圏で生活しているのでもなければネイティブのセンスにはかないません。日本語で育ってきた日本人が…
歌詞がよいことは、原語と日本語との両方で学ぶためには、一つの大きな条件です。特に、カンツォーネは、日本詞がうまく付けられているのが多いです。しかし、この頃の詞は、一音節(モーラ)に一音の日本語をあてていたため、原詞の内容の半分から三分の一…
日本はロカビリー、ロック、ポップス、ジャズ、カンツォーネ、シャンソン、ラテン、ボサノヴァ、ファドまで、向こうのものに訳詞をつけて歌う時代となり、同じ曲での比較が容易になったのです。 当初は英詞の訳もよいのがあったのですが。(この一連のヒット…
昭和の半ば頃までは、著作権が整備されていなかったのです。また、同じ曲を違うレコード会社専属の歌手同士、同じ時期に競作してヒットを競うこともありました。それとはすでに異なる状況でしたが、私が覚えている最後の競作曲は「氷雨」での日野美歌、佳山…
日本でも、邦楽や演歌には、定番曲があります。ミュージカルも同じ曲を違う人が歌っています。それは勉強するにはレベルがアップしやすい状況です。ところが残念ながら、安易に真似てしまうことでプラスにはならないのです。特殊な分野である声だから、大し…
日本にはあまりなくて、世界にたくさんあるのは、スタンダード曲です。スタンダード曲とは、歌詞やストーリーを皆、知っているのです。その上で歌われるから、歌い手は、楽器としての演奏力と表現力が問われるのです。 つまり、初物、誰もやっていないからオ…
海外の歌のように歌詞やストーリーの意味がわからないからよいというのは、音色やフレーズ(節回し、メロディ、リズム)から感じていくものだからです。それが演奏、音楽の世界です。 一見、逆のようで、同じこととしては、歌詞がすでにわかりすぎているとい…
音声、楽器演奏面からアプローチするのなら、イタリア歌曲の歌唱は、次の面で導入として最適です。 1.日本人の感覚を切れる 2.日本人の体、呼吸、声、発音を切れる 3.西欧音楽の歌唱にストレートに入れる 4.クラシック、声楽の方法がそのまま使える 5.…
日本の音楽大学は、日本の近代的歌唱の入り口でした。音大生は、体や感覚の条件を国際レベルに変える努力をして、発声をマスターしていきます。私にとっては、よき実験台として存在していたのです。 彼らにも日本語での歌唱は難しく、イタリア語の方が楽に、…
私がレッスンに取り入れたのは、大曲(声域や声量において、素人離れした歌唱力を要するもの)でした。コンコーネ50といった発声教本とともに、イタリア語歌曲集、さらにナポリ民謡、カンツォーネでした。その後、声の音色やリズムとしてシャンソン、ファド…
日本語はベースですがその他に、英語よりもイタリア語を発声に使いたいと思ったのには、いろんな理由があります。第一に日本語よりも発声に使いやすい、特に日本語でのトレーニングで行きづまった人には効果があります。第二に意味のわからない、これがとて…
基礎トレーニングとして使うのなら、さまざまな目的、レベル、プロセスを踏まえて、考えていかなくてはなりません。私のところにいらっしゃる方でも、いろんな違いがあります。少なくとも1~5について考える必要があります。 1.体、のどの違い、民族の違…
表現のためのヴォイストレーニングだったのですが、ヴォイストレーニングそのものを目的とする人が多くなってきました。本当にそれでよいのかと思うこともありますが、一方で、それほどすばらしいこともないと考えることもあります。声は何かを表現するツー…
私は当初、声そのものを鍛えるためにブレスヴォイストレーニングを提唱していたのです。ところが、歌手なのにあまりに音楽的感覚の不足から、声を損ねる人をみました。そこで、音楽フレージング感覚を吸収できる方法をメニューに入れたのです。 さらに、声楽…
ブレスヴォイストレーニングは、役者や声優の荒っぽい大声づくりで、声を損ねて悩んでいる卵たち(やプロ)に、特に使われています。歌手では本格志向の人が中心でしょう。お笑い芸人が多くなったのは、歌手よりも地として強く、太く、インパクトのある声が…
ヴォーカルの声はしだいに浅く、小さく生声になり、かつてのように、話す声、地の声でプロとわかるどころか、素人以下になりつつあります。第一の原因は、誰もが無理にハイトーンへ音域を伸ばしてきたからです。そういう要求に、すぐに対応してしまうトレー…
私は、初期のテキストからたえず、表現に対して、声は10分の1だから、常に音への感覚を磨きつつ、トレーニングしなくてはいけない旨を繰り返し述べてきました。どの本にも、声やのどを痛めることには最大の警告を発してきました。私ほど、こういう注意をし…
ブレスヴォイストレーニングに対しては、2、3年くらい、しかも私の指導下でなく、それまがいの方法でやったけど効果がないとか、のどを痛めたなどという人もいます。このような複雑かつ、個人的に状況も条件も差が大きい問題を、単純に正誤の二極だけで考え…