バイオリンという楽器は、実に多くのすぐれた演奏家と技術者(製作者)によって、高度に完成されていきました。家が買えるほどの高価なストラリバリウスの音は、今の技術者でも超えることはできないともいいます。しかし、科学的に性能を比較すると、他のバイオリンと差がないというデータもあります。年月が楽器を育てたのか、名声が名演奏家を惹きつけ、伝説となったのか、知るよしもありません。
そういう伝説の名器は別にして、私たちが買うくらいのバイオリンについては、およそ高価なものは、安いものよりもよいといえます。理想の形、素材があり、そのバイオリンで評価できるということです。
これは声楽家という持って生まれた喉と体ということになります。その管理の仕方、育て方も入ります。10倍の費用を出してでも、1パーセントの質を向上させたいと思うかどうかは、その人によるでしょう。