トレーナーの中には、最初から決めつけてかかる人が少なくありません。「あなたの声は…だ。だから、こうすべきだ」と。これでは初心者のトレーナーよりも悪い結果になりかねません。
確かに一回のレッスンで、わかりやすい人もいます。しかし、わかったつもりでわからないこと、そう思っても必ずしもそうでないという可能性もあるのです。
そういうときは、よくも悪くも、判断を棚上げにしておくことが大切です。つまり、先送りする。保留にしておくのです。
すると、生徒は不安になるかもしれません。でも、そこで判断して、へたに希望をもたせたり、絶望させても仕方ありません。
最近は、可能性を高めに見積もりすぎ、希望ばかりをもたせ、勇気づけることに行き過ぎているようです。それをメンタル対策としているようですが、フィジカルを軽視してはなりません。
レッスンを続けさせたいために甘いことを言わざるをえないのが、今の多くのトレーナーです。やさしく仲良くやっていくことが、メンタル的に弱く依存しやすい人の多い声の分野では“つなぎ”となるからです。
ヴォイトレは、ヒーリングなのか、ストレス解消なのか、自信をもてばよいのか、自信の元となる本来の力をつけるのか、どれが大切なのかをよく考えてみることです。