知らずにするというのは、頭で知らずにということです。気づかないうちにできるようになるということです。それならば、頭が邪魔しないようにする、次に体が邪魔しないようにする。逆の順でもかまいません。理想的には同時にそうなるとよいのです。
「ヴォイトレなどをしない方がよい」と、ヴォイトレを否定する歌手や役者がいます。それは、こういう意味では正しいのです。そういう人ほど、もし実力者であるなら、ヴォイトレをその名を使わずヴォイトレと思わずにしっかりと行ってきたし、今も行っているわけです。
理想的な発声をしていたら、深い呼吸ができるようになります。例えば、本当に全身全霊で歌えていたら、ヴォイトレはできているのです。
そうでない、その他のほとんどの人が効果的に強化するために、筋トレやコアトレのように、そこだけ取り出すヴォイトレがあるということです。そのように絞り込んで集中しないと、普通はなかなか、これまで以上の力をつけられません。ピアノで難しいパッセージだけをくり返し、指を動かすようなことは、パッセージの練習でなく、それに対応できる感覚と体(指など)のためのトレーニングです。それでは雑になるから練習曲があるのです。全体の流れをリズム、テンポも外して20秒くらいでベースの音やコードだけでさらえる練習が基礎トレーニングによいのです。