これまで自分に大きく聞こえていた声は、喉で内耳に響いてうるさく、外には拡散する生声やこもり声、だんご声です。その判断ができることが、よくないとされるほとんどの声からの脱却のポイントです。
鐘をきちんと叩けば、強くなくとも、その響きを邪魔しなければ、遠くに響くということです。理屈では、初心者でもわかることです。しかし、実際にといえば、ほぼ間違えてしまいます。
きれいにバランスがとれて共鳴したように思う声は、小さな部屋ではよく聞こえるが、大きなホールでは遠くへ届かないのです。拡散しないようにまとめ、絞り込んでいると効率はよいのですが、そこでパワーまで抑えてしまった結果、おとなしく落ち着いただけの声になってしまったのです。日本人が、よく誤解して目指してしまう声です。困ったことに、教えている人がそれを勧めるわけです。でも、それも一理あるし、きっかけや一歩になることもあります。カラオケの上達を目指す人にはわかりやすく、よい教え方ゆえに、それは限界が早く来るのです。
響きを邪魔しなければ強く奏でる方が届くことを忘れているのです。いや、今となっては、もはや指導者も含めて、あまり経験してきていないのでしょう。
トランペットなども、小部屋でうるさく汚いほどの音の方が、広いところに出るとぐーんと伸びて、ただ美しいだけでなく、心に響くものになるのです。例えとして適切かどうかわかりませんが、ジャストミート打法であり、同時にホームラン打法であるというもの、それを目指すことです。