いつからでしょうか、「わからないからダメだ」という判断をする人が増えました。わからないところを探しては、すぐに直そうとか潰そうとする人もいます。日本の芸の衰退はそこらから始まったと思います。「他の人もわからない」と言っていると安心するのでしょう。多数を求めてはなりません。
私は、わからないから始め、わからないから続けています。わからないことをわからないと伝えています。わかりたくていろんなことをやりました。わかったことは、それで終わりました。大半はわかった気になっただけでしょうが、終わってしまったのです。
となると、わからなくてよいのです。わからないから続くのです。私なんかががすぐわかってしまうような、ちっぽけなものであるはずがありません。
そう考えると、わかってしまうようなレッスンやトレーニングなら、大して必要ないと思うのです。自分でやればよいと思うからです。自分一人でやれないことに時間やお金をかけることでしょう、というのが私の対し方です。
ですから、わかるためにレッスンしたい人は、わかりやすいトレーナーにつけばよいのです。ここでもそうしています。わかるほどに、もっとわからなくなることを期待してのことですが。
問いがたくさん出てくるように、複雑なものが簡単なものとなっていき、少しずつハイレベルなところで出てくるように、です。すると、自ら求めるようになっていく、独自の問いになっていく、その問いづくりに協力しているのが、レッスンです。人に聞くな、自分で考えろ、まずは、考えた通りにやることです。