私が社会に出た頃、モノをコト化するとか、ストーリー化していくといった手法がもてはやされていました。それは、生活に即してのイメージに実感を与えているようにみえました。
しかし、その多くは、ドラマのようにできすぎていて、シンプルな頭の中での空想にしかなっていなかったのです。
ドラマの世界に憧れ、そのように振る舞いたかった若さが失われていく、もうドラマのようには煩わされたくないと負けたのかもしれません。
これは、声についても言えます。私は、徹底してリアリティとしての声を求めています。生の舞台での生の声です。
しかし、多くのトレーナーやヴォイトレに寄っていく人たちは、ドラマの声、頭の中の声を追っているように感じるのです。マニアックなのはよいことであり、嫌いでありませんが、どうも総合的にバランスを整えて、聞きやすくアレンジし、声を素材として加工して、まとめていくだけ。私はリアルな世界とリアルな声にこだわっているつもりです。