昔の芸人や職人は事実より、真実を知っていました。それは見えません。暗黙知です。教えて直るようなことではありません。教えたくらいで直るなら直っているのです。だから教えても仕方ない、だまってくり返せということでした。
トレーナーが、目先の効果でしか考えていないと思われることが多くなりました。ちょっとしたアドバイスで、ちょっとした効果が出て喜んでいる人を見ているからでしょう。
最初にわかりやすい効果を出さないと、信じないし、そうした効果を毎日出し続けないと来なくなる(他のところに行ってしまう)という、今の人の学びの浅さも要因です。そして、こうして学んだ人がトレーナーになって教えているから、さらにそうなります。フィジカルや整体などの分野では、顕著です。
体については、声よりも研究され、実績も理論も練られて、わかりやすいです。そこで私も体からのアプローチを声の基礎の基礎にしています。しかし、だからこそ陥りやすいワナがあるのです。
「5分で○○ができるようになる」に対して、「だから、何になるのか」というのが、私の見解です。痛みがなくなるとか、楽になる、楽にできるようになる、という健康や医療面のことなら、口を挟みません。外見の魅力やファッションアピールのことなども論外です。
肉体を変える、声を変える。その人の価値観ですが、声を磨く、そのために体も鍛えられる必要があるわけです。