「絶対的に正しい人」も「絶対的に間違った人」もいません。「絶対的に正しいやり方」も「絶対的に間違ったやり方」もありません。
私がヴォイトレを論じるのは、多面的な考え方をして欲しいからです。方法や技術などでなく、ましてや、理論や知識でなく、表現と音声ということに対し、学びの本質を知って欲しいからです。
私の考えや思想を押しつけるつもりはありません。「もし自分がうまくいっていないと思ったなら、それを抜け出すヒントや問いがあるかもしれない」くらいで捉えてください。これがきっかけで人とうまく接することができるようになれば、半ば成功です。残りの半分は、毎日の努力の積み重ねです。その2つ、それは、まさに表現と声に対してとるべきスタンスと同じです。
人に働きかけるように外に出る、内なる自分のオリジナルな声をみつめることです。歌や芝居のためだけではありません。アートは、その象徴にすぎません。リアルとしてある社会での仕事、生活に通じるスタンスです。この2つの位置づけを学びましょう。