私は欧米のことばにやや近い感覚のものとして、これまで関西弁、広島弁や博多弁などを挙げてきました。音声以外の日本語の研究はたくさんあるので、興味のある人は学んでください。言語で文字によって表せるものは、書物で学べるからです。
文字の発明、紙の発明、印刷の発明、本の発明、それ以来、研究というのは、ペンで綴られてきました。欧米ではアルファベットのタイプライターの発明で、飛躍的に多くを記録し、伝えることができるようになりました。日本ではワープロの開発、普及を待つのにかなりのタイムギャップが生じました。
一方で、音声は、20世紀のレコードとラジオの普及からパソコン、スマホが普及して、利用も研究も本格化しつつあります。
日本人は、文字に対して大きな思い入れをしてきたのです。これは、翻訳を絶対としてきた輸入文化ゆえの宿命でした。しかし、その元、日本人のビジュアルへの鋭い感性のためだと思います。欧米にもフォントはありますが、日本人の絵文字ほど柔軟ではありません。韓国や中国のような伝達の効率を重視した文字の改革はあったにせよ、センスよく守られてきました。現代において、絵文字、記号など、新しい発明が、一般のレベルでどんどん行われ、改革され続けています。カタカナ、丸文字を超えての、新たなる日本語の開発のスピードと量には驚くばかりです。