私はこれまで、著書に、あえて、あまり科学的なことや生理学的なことを入れないできました。
デビュー本で、公にした仮説の元は、10~20代までの実演や経験です。自分が3割、海外や日本の他のトレーナーとの経験が2割、レッスン指導の経験が4割、類書からの参考引用が1割です。
それから10年後に「基本講座」「実践講座」と、最初の2冊の本を全面的にリニューアルしました。そのときに思ったことは、他書から引用したことが、研究の進展で、ずいぶんと変わったことです。声のしくみについても「裏声は仮声帯で出す」と、音声医の第一人者が本に書いていたくらいです(米山文明氏など)。音声の研究は、物理的(音響学的)、生理学的に進みました。声については、専門分野の人向けだけでなく、一般の人も研究できるようになってきました。
ヴォイトレでは1990年代後半から、
1.欧米のメソッド(クラシックよりポピュラーとして)
2.科学や理論に基づいたようなメソッド
3.日本人の求める高音発声や声域拡張、ミックスヴォイスなど
が出てきました。