歌ってしまえばオリジナルになってしまうようなのは、才能に近いものかもしれません。結局のところ、歌もまた、天賦のものとみるのであれば…。ただ、どの歌も本人のものになってしまうのは、それだけの量と質をこなしているから可能なのです。これは練習量だけではありません。
歌手や役者は日常もまた、声を使うため、修行のようなものだからです。時間、量として他の楽器のプレイヤーのように、具体的に何千時間とは出せないのです。
比較的、よい質に転じやすい人がいるのは事実です。運動神経やIQなどと同じことです。それゆえ、歌手は、歴史上ヴォイストレーナーに育てられたプロは少なく、プロデューサーが発見し、プロとなっての調整や基礎固めに作曲家やトレーナーを使うものでした。伴奏で正確に歌えるようにするだけでよしというのも、相当ありました。こういうケースは、トレーナーのノウハウでプロになったのでなく、プロとして続けられるためのノウハウとしてヴォイトレが使われています。
ということもあって、ヴォイトレは、攻めよりも守り、強化より調整、将来よりも今や過去のキープに寄っているのです。☆