体は一人ひとり違います。平等でもありません。また、同じ人でも体は毎日違います。よくも悪くも日々、変わっていきます。その全てに対応できる一つの方法などありません。方法も対処のし方も変わっていくのです。
それを固定したときからギャップが広がります。基礎に支えられていないとハイリスクで、いつか壊れます。そこまでハードに活動していないから、使い続けなくてすんでいるからもっているだけなのです。わかった、できたと思うとき、そうなっているのです。
トレーナーが細かなチェックにこだわるほど、本人も守りに入ります。低い次元でチェックにこだわるのでなく、高い次元での小さな差異に丁寧な対処が必要なのです。医療のように高度な器材を入れてチェックを厳しくすると、平均値からみた異常がたくさん見つかるようになります。それを全て直して平均の人の値に戻す、そのように変えることが何になるのでしょう。
マイナスをたくさん発見して一つずつ潰してゼロにする、それは、トレーナーのすることとは違います。すぐれたアーティストのすることではありません。
健康オタクのように、ヴォイトレオタクもいてもよいかと思いますが、ヴォイストレーナーなどは、そうなりやすいタイプの人が多いからなおさら、こういう傾向が進むのです。
マイナスにマイナスをかけてでもプラスにしなくてはいけない世界でマイナスをゼロにして、またマイナスをみつけてゼロにする、そんなトレーニングは、病気を探しに毎日病院に検査にいくのと変わりません。
よくないところの早期発見は大切、という話でなく、発見やチェックよりも、その前に発見やチェックをしなくてもよい健康な生活を心がけるべきです。
他人に全てを任せようという依存では、一人で自主的にやっている人の足元にも及びません。自主的に動き、そこで一人でできないと知り、トレーナーを使えばよいのです。ときには、自分の実感や直観の限界を知り、トレーナーの経験や見識に委ねてみることも必要です。