体の器官を使って、機能として出す声は、長い歴史をもちます。そのなかで、ことば、歌とともに発展させて継承してきたものです。一人ひとりの個体に生活上、必要なものです、根本的には人類の種の存続に必要であって、その目的に合うように発展してきたのです。コミュニケーションに欠かせないものです。
声を出す力は、誰にでも備わっています。それをもっと働きやすくする環境と自分の心身を整えていくことです。その上に、働く必要性を与え、足らないものを補充するのがトレーニングです。
早く楽にすぐに役立つものは、深まりもせず長くもちません。多くの人が即効的、実践的、すぐ役立つものだけを求めるようになりました。それでできることといえば、最大のテンションで一時的に使った力によるものくらいでしょう。何事もじっくり時間をかけて苦労し努力し、面倒な手間をかけてこそ、深まり、生涯使えるものとなるのです。
使わないと衰え、使うと強くなります。声によい、体によい、やさしい、このバランスだけでは、表現として印象に残るものには成りえません。絶対的なパワー、それには、練習の絶対量と声を使い込むことを必要とします。