研究所では、当初、10代、20代の歌手や役者になりたい人にたくさん接していました。たくさんの人と接して、その後の人生もみてきました。
日本では、そういう職業において問われている声の力そのものの比率が低いのです。
私は、最初から「10分の1の能力としての声を獲得」と言ってきました。トータルで100点として、10点にしかならない、しかし、10点として、能力の1割アップとしても、「確実に身につけられる力は、重要。それゆえ、時間をかける意味がある」と言ってきました。
さらに、この比率は下がっていきました。声そのものの力をもつ人があまりに少なくなったために、フィジカルやメンタルのなさの解決をすることでヴォイトレは残りました。そして、変容し、多様化し、普及もしたのです。
残念なのは、本来の生の声の力と離れてしまったことです。