しゃべる声、地声はふだんから使うので個性的、かつ多様さ、変化に対応できます。それに対して、裏声はそこまでの変化は求めにくく、どうしてもある程度、どれも似てきます。そのため、私は、発声は共鳴を中心にして精度をあげていき、楽器的に使うべきものとしてみています。
ケースによっても異なります。一般的に、男性は地声、女性は裏声で歌うなどと言われてきました。歌においては、男性は1オクターブ低く発声して、1オクターブ半くらいで使えますが、女性はそれだけの声域を地声だけでカバーしにくいので、裏声に切り替えることが多いのです。
最近の日本の男性の歌唱については、J-POPSでの高音化により、特殊な楽器的効果でしか使われなかったファルセットをよく使うようになった(身近なものにした)といえます。かつては、ファルセットは高いファ、ソあたりで一音だけ使っていたのです。今はその半オクターブ高く(ハイCあたり)使う人もいます。また、ファルセットをハイトーンに限らず、効果を狙って頻繁に使うようになりました。