ヴォーカルの鬼門は、歌詞を忘れることです。一週間前くらいまで歌詞を見て歌い、覚えたつもりのまま出ていくのが、よくある失敗するケースです。これは、「忘れるという失敗」を練習で経験していないからです。間違えるのも練習です。
レッスンのときに、よく言うのは、形だけで覚えたつもりにならないことです。暗誦して再現するという形だけでは伝わらないでしょう。実際は形しか聞かない客も多いので、形があればもつのですが。そこで一つ崩れると総崩れとなるリスクを避けたいです。
歌をマスターするというのは、歌詞を覚えることではありません。「メロディを正しくとって、正しく歌詞のことばを付けていけば完成する」と考えるのはよくありません。
必ず自分なりに再構築することです。歌でなく、歌で伝えたいことをリアルに捉え直し、仮に歌詞が出てこなくても、同じことを伝えられることばに、すっと変えるくらいに実を捉えておくことです。