私は声をアカペラ(この場合は、マイクなどの音響技術を使わないということで、意味が違うのですが、生声というのも私の伝えたいニュアンスと違うので、慣習的にそうしました)でみることにしています。歌唱やせりふ、ナレーションにもいろんなテクニックがあります。そのなかで、声そのもののトレーニングに焦点を当てるために、マイクを使わない声としてみています。ヴォイトレには、これと異なる見解があるし、マイクテクニックやマイクを通した声でみることを否定するのではありません。ここにも一部、マイクを取り入れるレッスンがあるからです。
アカペラがなぜ大切かというと、声を、音のソースとして純粋にみるためです。音響で加工することを前提にすると、トレーニングの前後で何が変わったのかも曖昧になりかねないからです。
マイクの使い方がうまくなって作品がよくなるのはマイクテクニック、同じように、発音がよくなって作品がよくなるのは発音トレーニングです。そのベースにヴォイトレの効果もあるなら、どこで区分けするのかが曖昧です。
実際、声に基準をつけるとしたら、こうしたボトムアップでなく、一流のレベルで声を使う人を想定してのトップダウンでしかないと言うのは、基準を明確にするためです。