多くの人が勘違いをしているのは、基本について、です。教えられたままに疑問に思わず、2、3年でできていると思っています。2、3年くらいやっていたような人から基本と言われたことをやっていく。誰もが身につけているもの、動きやフォームのように考えているのです。
それなら呼吸や発声の基本のできていない人はいなくなってしまう。事実、そうでしょう。だからこそ、私はオペラ歌手、10年くらいのキャリアでの基本あたりを最低ランクにおいています。
一般の人にも、発声や呼吸の基本を教えるとは言わず、しっかりやっていくと何年か経つと身についている、かもしれない、くらいでアドバイスしています。
確かに基本といっても、初心者レベル、中学校レベル、高校レベル…など分けられるわけではないが、程度の差があるでしょう。しかし、基本とは、一流の人が共通してもっているものとした方が明確です。多くの人が一生かかっても手に入れられない、身につけられないのが真の基本です。それを身につけるために体やフォームを準備していくのです。
現実には、完全に身につかなくても今よりもずっとよくなるように、よくなり続けているようにしていく基本が大切です。
基本も必要とされる程度によって変わるものなのです。その習得を妨げる要因が、自己評価、自分で感じてできているという判断になっているのです。