声は身体が古くに獲得した知恵です。ですから、頭で考えて発声を妨げないことに尽きます。頭で理解しようとすることが、どれだけ妨げるのかは、ポピュラースクールの歌手希望の人の声と、どこかの坊さんの声を10年後に比べてみるとよいでしょう。
スクールでは、頭は使っても身体は使っていない、使っているつもりですが使えていないのです。通っている間は仕方ないとしても、問題は、呼吸や声が10年経っても深まっていかないことです。
ヴォイトレや発声法などをしなくても、お経を10年読むと、大半の坊さんは、呼吸も声も深まります。深まった呼吸と深まった声がないと仏様が落ち着きません。つまり、必要性が感じられるから身についていくのです。人前で声を響かせることを毎日、フィードバックしますから、よほど鈍い人でも修正されてくるのです。それに劣るなら、スクールのヴォイトレより、お経を読んだ方がよいといえるのではないでしょうか。