ここを出てヴォイストレーナーになった人のところからも、ときおり生徒さんがここにいらっしゃいます。そのトレーナーの話で興味をもっていらっしゃる人と、そのトレーナーに反発していらっしゃる人とがいます。どちらにしても、そのトレーナーが生徒であった時期を知っていると、明確に、トレーナーの教え方がわかります。
何がうまくいくか、何がうまくいかないということがみえるのです。元々、そのトレーナーのもっているところや長所については、ヴォイトレで得たわけでないので他人に教えられていない。つまり、指導ではネックとなりやすいところです。しかし、そのトレーナーにつく人は、そこに惹かれてつくのです。この矛盾をわからないのは声が特殊な分野だからです。☆
ヴォイストレーナーになろうという人には、歌手で続かなかった人もいますが、まじめに学んで、まじめゆえに人に教えてあげたくなった人もいます。挫折を避けた教師タイプのまじめさは、生徒にはメリットにもデメリットにもなります。まじめなトレーナーにまじめな生徒がつくと、まじめなレッスンになります。つまり、正しく教えてその通りにさせるのです。舞台からは遠くなっていくことが多いです。そういうタイプのトレーナーは、長所をみつけたり伸ばしたりすることよりも、短所の補強が目的で時間が経ってしまうのです。
トレーナーのもっているようなよい声や音楽センスをもっていないのに(大体、トレーナーというのは、どちらかもっています)自分の弱点をなくしてもらったところで、普通になるだけです。発声の力の不足が若干補われたところで、プロになれる方向に向けられていないのです。