身体知の話です。私が量のことを言ったのは、根性や精神力や忍耐のこととは違います。かつて芝居の修行などはそういう中で磨かれていったと思います。しかし、私は心地よくさせることでの声の習得を目的としています。楽にというか、楽しく取り組んでもらいたいと思っています。でも日本では、楽しく取り組むのでなく、楽しくしていれば身につくような、大きな勘違いがありますね。
身体に身についたものは、身体そのものの差やメカニズムのように思われますが、大半は脳によるもの、つまり、脳を進化させてこそ、可能になることです。それを最初に知っておきましょう。
筋トレや柔軟をいくらやっても、やらないよりはよいのですが、そのままでは、スポーツ選手や楽器のプレイヤー、歌手にはなれません。
記憶術をいくら覚えても、それで英単語を覚えられたのとは違うということです。テストでよい成績を取りたければ、テストの勉強をたくさんする。運動会の100メートル走で1位になりたければ、早く走れる本を読むよりも、瞬足というシューズを買う、いえ、走る練習をたくさんするということです。