夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

タレント化と共感

私たちの時代に、歌い手は、生涯、歌い手のはずが、大いに転身しました。プロデューサー、作詞家、作曲家、プレイヤー、DJ、タレントなど、音楽を生業としていくなかでも、自らの才能をより活かすために、食べていくために転身しました。

 歌手は、歌でしか食べてはいけないわけではありません。強いパーソナリティが問われるもの、ポップスでは、役者やタレント業とも重なるところが大きいのです。異分野との兼任も違和感はありません。日本では、美空ひばりはじめ、有名な歌手は、映画スター、その後、舞台興行に転じ立ち回りを演じていたのです。

 シンガーソングライターが一般的になってからは、自作自演の能力を、楽曲提供、プロデュースへと振り分けていくのも、しぜんな流れでしょう。表現分野が、演劇、映画へ広がっていくのも延長路線でしょう。今のお笑い芸人と同じです。いや、お笑い芸人が取って代わったのです。詩人、作家→役者、歌手→お笑い芸人が、日本近代表現者史です。

 その後は、興行として単独ステージよりコラボなステージが親しまれるようになりました。スター不在、高いところからすごいことを一方的に与えるのでなく、共感というキーワードで観客席で一体となるようになります。AKB48に象徴される「普通の子」のステージで、ソロのスターを目指すのではありません。振付やダンスパフォーマンスで観客のノリに溶け込み、一体感に満たされる、その形は、ピンクレディ、古くはグループサウンズザ・ピーナッツなどにもみられましたが、観客はオーディエンスでなく主役なのです。「表現から共感へ」という日本らしい変化です。