くり返すまでもありませんが、単独での「正しい声」「正しい発声」「正しい呼吸」などはありません。すべては、どう使えるかの程度問題です。ですから、私は、ことばとして「正しい」でなく、「深い」をよく使っています。トレーニングは深めていくプロセスです。
どこまで必要かは、その人の目的によります。ギリギリ使えるよりは、余裕がある方がよいに決まっていますからハードめにセッティングします。つまり、わざとふしぜんを求めるのです。
仮に、歌に対応しうる体というものがあったとしましょう。これはローレベルでは誰もがもっています。音痴の人でも声が出るなら歌える体です。
それでは、ハイレベルでプロ(ここでは、本当に声だけとしてみるのですが)として歌える体、誰が聞いてもプロとして通じる歌える体-となると、どうなるのでしょうか。オペラ歌手とか邦楽の第一人者のように、いえ、世界レベルの最高のヴォーカリストの体が、感覚も含めて、その条件となります。そのように仮定して、トレーニングをセットするとはっきりしてくるのではないでしょうか。