ハイパワーで歌ったヴォーカリストほど、日本では声そのもののパワーは失われてしまって、潰れている、ハスキーから喉が荒れ、喉の病気を引き起こしています。
声への負担や不調が神経質なまでにタブーになったのは好ましいことではありません。ヴォ―カリストのスケールが小さくなりました。ヴォイストレーナーという保守的なアドバイザーがついてしまったことにもよるのでしょう。
そこは昔なら、心身の強くないヴォーカリストに対する処方なのです。喉が最悪になるまで医者に行かなかったヴォーカリストが、今や真っ先に病院に行く。医学も進歩したので何でも経験したり知ることはよいのですが、結果として、迷ったり振り回されたり、大したことでないことを大問題のように思って、いろんな制限がかかるのです。
声が自由になるためにトレーナーは制限させることはありますが、ヴォイトレの調整のために、あれもこれもだめ、となったら、もう先もないでしょう。
この辺りは直感として今も変わりません。スポーツでは、もう「日本人は向うの人と体も力も違うから勝てないね」などと言いません。が、声楽や歌手には、そう言う人が少なくありません。もはや、挑戦も比較もしなくなったのでしょうか。