喉頭の能力について、一般レベルでは、喉からその人の可能性や素質のよしあしはわかるのです。しかし、一流の人が必ずしも声帯で恵まれていたわけではないという例はいくらでもあります。体重があればラグビーに向いているというレベルで選手を選んでも、それは素人集団にとって有利な要素の一つにすぎないわけです。
同じことは声でもいえます。その人が加工して出した音の波が、楽器ならある程度、分析して、一流のプレイヤーと同じものが出ていたら優れているという指標になります。しかし、声は個人差が大きすぎてそうはなりません。
一流のすぐれた要素を多く持つ人がそうでない人よりは有利でも、一流とはならないのです。それを証明しようとして実験したこともあります。結果、現実に売れなかったのです。
この傾向は、J-POPになり、その人の声、歌い方と曲と詞とアレンジが密接に関わってくるにつれ、なおさら高まってきました。もはや詞と曲と声だけでの判断では、よい歌になるといえないでしょう。