落語や邦楽に比べ、歌は日本人の二重性、舶来品好きがフィルターをかけている分、プロゆえに、そのふしぜんさ、特殊であることに気づかなくなることが少なくありません。
当初、「男が音楽やファッションにうつつを抜かすとは…」などと言われた時代に学んだ人たちは、何をやったかという前に、やろうとした時点で、すでに革新的でした。
客=ファンが増えると一般化して、その通を目指すのにも、まじめな人が多くなります。まじめと才能とは違います。
才能があろうとなかろうと、価値は舞台で決められていくので、それらを支えている人には何ら言うこともありません。まがりなりに才能と努力を伴って主役をはっているソリストにも、頼まれない限り、何も言いません。このあたりは、もっと厳しい批評家が、声の分野のアートに出てくるのを願っています。