心と体の問題に入らざるをえなかったのは、発声以前の問題がそこに大きく障害のように横たわっているからです。声、ここでは、その人の行っていることや内面で思うこと―心の声というようなものでなく、まさに声そのものです。が、声をずっと聞いて、その問題点を頭で考えるのではありません。まず自分の体で同化して、イメージですが、体でスキャンしているわけです。すると心と体の問題も感じてしまうのです。そのままスキャンすると心身を壊しかねないので、ブロックしてしまうこともあります。
体のことは、姿勢、呼吸の不具合や、まだ準備できずに足りてないという条件不足としてわかります。しかし、精神的なことや心はそれだけでは、なかなかわかりません。
表情や所作、ことば、話し方や会話の中に、そのヒントは潜んでいます。育ちや経歴、声について、家庭や学校、仕事場といった周りの環境、接し方、コミュニケーションの相手とそのあり方などが、声には深く関わっているからです。感情、感性やの能力、病気、健康などと関係するのも、気、呼吸、霊性と声は、深くつながっているからにほかなりません。
