声の深さを浅い順に、A2、A1、A0とすると、日本人はA2、欧米人はA1と、すでに10代で差があります。そこは、日常会話のところでは意識されません。歌Cは、共鳴Bとなるのです。この共鳴Bはおよそ頭声です(A=胸声とみてもよいでしょう)。ことばCとすると、Cは、ことば、感情、ハスキーヴォイスとみてよいでしょう。共に浅い順に[B2、B1、B0][C2、C1、C0]とします。
1. A―B…歌
2. A―C…表現(話)
日本のヴォーカリストは、小さい器のまま表現に入ります。役者型(実際はタレント)になるのです。つまり日本人ヴォーカリストの大半は、A2+B2の歌から、そのままA2+C2の表現力を得るのです。なかには、ことばを重視した感情表現をC2からC1にしたものの、A2+B2+C1でバランスが悪くなることもあります。Bを失うと高い音、裏声ファルセットが出にくくなります。理想は、海外のヴォーカリストのようにA0+B0+C0となることです。
ヴォイトレは失われたバランスをとるため、Bで共鳴(頭声)の統一を行います。崩れた器の補修です。しかし、それが元に戻っても、B1どころかB2止まりです。なぜなら、A1が伴わないからです。そこでA2→A1→A0を目指します。
A1―B1、A2-B2というバランスがとれたら歌になるのです。最後にC2→C1→C0と感情表現を加えます。多くの人が伸びないのはA2―B1のまま、Cを出そうとするからです。