歌がエンターテインメント化してヴィジュアル化されたというのは、シンプルにはTVの影響ですが、PV(プロモーションビデオ)のマイケル・ジャクソンが徹底させたといえばわかるでしょう。日本でもダンスミュージック、いや、ダンスをしながらの歌のステージが当たり前になってきました。
振付師はマイクを持つ手のことは考えますが、あとは音楽と体とコラボさせているのでしょう。歌のリズムや一部サビなどの構成とリンクはしますが、発声や共鳴などまでは考慮していないと思われます。ハードな踊りになると、歌は口パクで音源のを流すわけです。ダンスパフォーマンスでみせるステージングは、なおさら、個人としての声の重要性がわかりにくくなります。
それなら、喉に支障ありませんが、ハードな振付と歌うことは両立はしがたいのです。呼吸が乱れるからです。大体は、どの分野も、声は映像に合わせ後から入れるというのが主流になっています。
本格的な歌い手ほど、声やことばを重視して最低限の動きでみせ、パフォーマンスを押さえます。バランスをどこに置くか、その人の個性、売りによって違うのです。
ヴォイトレからは声を中心、共鳴中心、喉の負担最小を基本とします。すると、声量を出さないでリスクを避けるとなり、それをことばでカバーする。となると、ことばも歌えて共鳴できるところ、楽器的な処理ができるレベルならよいのですが、大体は、このプロセス全体がロスになります。