バランス(声域、高音)を優先して成果をみえやすくすることは、よいとか悪いとかでなく、何を優先し何を重要視するのかの違いとはいえます。
基礎が大切なのは言うまでもありません。応用してからの基礎は完全なフォームのつくり直しになる。それもよしとしています。
私は先に、自分で応用し、量を経て、そこからトレーナーと基礎をやるのが理想と言っています。応用から始め、1、2年で早くよくなっても、そこで声の可能性、成長が止まって終わります(応用は基礎の上にのっていないなら、くせと言う方がよい)。それを変えたいのなら基礎からやることです。
トレーナーは、基礎をやることが大切なのに応用をやる人が多いのです。ポピュラーでくせ声があたかも個性のように扱われてきたから、その人の声は変えられないものとされてきたといえます。発声も発音のポイントもそのままに固めてきた天性のヴォーカリストでは、しぜんのまま、うまくバランスが取れているケースもまれにあります。
そのあたりをやりくりして、トレーナーのスタンスをきちんと理解しましょう。そうでないと、どれだけトレーナーをまわっても混乱するか、正解は一つと思い込んで固めるだけです。トレーニングはバラバラに行っても吸収できないのです。統一された体系づけが必要です。それを経て、蓄積して、身につけていくのです。歌とヴォイトレの切り分けを知ること、そして次につながりをつけることです。