夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

思い込み

偽薬が効いた人は、飲まなくてもよかったのでなく、偽薬を薬と思って飲んだから効いたのです。大切なのは、薬の真偽以上に本人の心での真偽、つまり、意志や信心であるということです。治そうとする意志や治るという確信が影響するのです。

 となると科学でなく心理学です。科学的というなら、せいぜい統計として扱うくらいです。ヴォイトレも同じです。薬を飲むと、よく効く人も、あまり効かない人もいます。体質も症状の程度もその効果も個々に違い、真実はありません。そこに因果関係があるというのは思い込みです。そうであって欲しいという心理の成せる業にすぎません。それが高じると信仰になります(もちろん、ステロイドなど対処療法に確かな効果を出すものはあります)。

 こういうことは、マジックの錯覚でよく利用されています。自分に外にあるものを、どこまで客観視できるのかの実験では、同じ長さの2本の線なのに長短にみえたり、ピンクなのに緑にみえたりする。脳にそれに反応するニューロンがあれば、私たちはそういうふうにみるのです。聞くのも嗅ぐのも、すべてそうなのです。

 真実を知りたくても、五感で捉えているのは、事実でなく、感覚の世界、脳の認知する中でのことにすぎません。真の存在でなく、存在を感知した脳の回路の活動です。となると、状況によって、かなり大きくぶれるものです。しかし、その心理や信仰を利用しての芸や作品でもあるわけです。効いていないのに効いているようにみえたりするなかで成り立つのです。