美空ひばりの歌で、私は、声も含め、すべてが静かに止まっていることを知りました。彼女に限らず、一流の歌には安定、安心、やさしさがあります。彼女の歌には、悲しい美しさがあります(私も詩で表しました。「EIのポエム」参照)。
まっすぐな線でも、本当に止まっているのではない。動いているのです。
しぜんにおおらかに伸びている線、フレーズについて学んでみましょう。それは、ビブラートが安定していると、まったくブレていないようにみえるということです。
呼吸の力が衰えてくるとフレーズはブレてきます。コントロールできなくなるのです。ベテランには、それを、ことばや間や表情などで見せてカバーする人もいます。
秘訣は、くり返し徹底し、ひたすらやり抜くだけです。同じことがくり返せるのは、実力がないと無理です。わからない人は、15秒のロングトーンをくり返してみてください。少しずつ判断が鋭くなってくるでしょう。それを元に、呼吸のトレーニングを重ねて、力をつけていってください。☆
3回、同じフレーズをくり返し、同じにできたかどうかで、歌い手の基礎力はわかります。1番でも2番のAメロでも、サビのリピートで比べてもかまいません。
日本の場合、同じ歌でも、1、2、3番と、歌詞でフレーズが違ってしまうことも多いのですが、わざとしたのか、その結果プラスかマイナスか、コントロールできずにそうなったかくらいは、わかっていって欲しいものです。