◇日本のシャンソン風、ジャズ風・・・格好ヨサソウ、インパクトがない、“たいくつ”
上品さや気品を上っつらだけをまねた、自己陶酔っぽい歌い方です。
中途半端に声楽家離れしない人や役者出身者に多いのが特長です。
それで通じた昭和の時代は、古く遠くなりつつあるように思います。
鋭い音楽性、深くパワフルな声のない語りものの日本のジャズもまた、雰囲気好きの日本人に期待された結果の産物だったのでしょう。
センスとパワーの一致を望みたいものです。
◇日本のオペラ、カンツォーネ風・・・押し付けがましい、自慢げ、声だけ“うるさい”
声の美しさ、響きに頼った歌い方で、個性や表現の意志に欠けます。
声量だけは感じさせるのですが、一流の声楽家や本物の歌い手と比べられて聞かれるので、マイナス面をみられがちです。発声や技術が前に出てしまい、人間性が感じられない。不自然な表情や動きになります。
◇日本のブラック、ゴスペル、ラップ風・・・なんか変、みせかけ、ちぐはぐ“ウソッポイ”
洋ものを真似て、声をハスキーにしたり、やわらかく使う表面的な歌い方に終始しています。日本人特有の雰囲気、甘さ、コミュニケーション先行で、厳しさやしまりがないため、おもしろさに欠けた退屈なものになりがちです。
精神性が感じられず、洗脳されたような薄気味悪さがあります。ビジュアル、笑顔、一体感、振りなどの演出に逃げ、個としてのパワー、インパクトに欠けます。
しかし、不思議に日本人はそういう歌い方を評価するようです。
こういった多くの歌い方は、世界で受け入れられたアーティストの個性や雰囲気を、表面的に真似て、インスタント加工したものです。体、呼吸、心、音といった根本での声、歌、音楽の生まれる条件を、踏んでいないのです。
ピカソやシャガールの絵を真似て、上手といっているようなものです。
それで通用してしまう日本の状況が、私は有望なヴォーカリストにまで才能を甘んじさせているように思います。トレーニングとして、自分の声や歌を知る材料として出してみました。