初期の私の本には、私自身は「ヴォイストレーナーでない」と明記していました。
私自身が、声楽家や役者、欧米のヴォイストレーナーと行なってきたメニューを中心にしつつ、しだいにポップス向けに変容してきた方法を、ブレスヴォイストレーニングとして、理論立てて打ち立てたのは、三十年以上、前のことです。
その頃は、ヴォイストレーニングという定義もなく、漠然としていました。そのため、そのことばを経験の未熟な私がストレートに使うのは、ためらわれたのです。
知っておいていただきたいのは、いかなる方法も、その時代の必要とともにあるということです。(その頃は、頭声ばかりが発声レッスンの主流でした)
それに対し、私は言語音声力の強化にベースを置いたのです。
つまり、歌唱発声のそのまえのところです。ですから、役者や声優や一般の人も早くからいらしていたのです。