芯―共鳴とは、基礎―応用ともいえます。私のヴォイトレのメニュでは、「ハイ」―「ラララ」にあたります。「ハイといえないところでは歌えない」が、厳しい条件としての判断の一つです。日本のプロの歌手には必ずしも当てはまりません。シャウトなどしないからです。声楽家でも、ことばと歌を分けている人の方が多いでしょう。
でも一流なら区別しません。語りのなかで歌い、歌のなかで語ります。
共鳴は、使い方、技術です。そこでは、弱い声でも響かせ遠くに伝えられます。そこから入って、芯を確実にする、そういう方向が声楽の正道です。発声-共鳴の結びつきをつけていくのにわかりやすいのは、確かに声楽のメリットです。まとめておくと、
基本:器 芯 「ハイ」
応用:効率 共鳴 「ラララ」
このたりのことを、私はデビュー本に、100の器で70パーセントで歌う(=70)のと、200の器で50パーセントで歌う(=100)のとを比較して述べています。結果は70<100です。器づくりが大切、優先というようなことを、この通りではありませんが、声の器の必要性、それがあると有利なこと、世界レベルの基準として述べています。ずっとそれを通してきました。とはいえ、世の中も、ここにいらっしゃる人も、トレーナーも、ヴォイトレも、時代とともに変化していったともいえるのです。