現実にステージをやっている人がくると、今さら土の中にいる蝉のような潜在期をもつことは難しいのが現状です。オーディションや大きなステージ前には、柔軟的なこと、調整以外のことは、薄めてステージに差しさわりのないように、用心しなくてはなりません。「ヴォイトレをやったら、へたになった」と言われかねないからです。だから、柔軟、のどの調整がヴォイトレのように思われるようになってきたのです。
ワンポイントアドバイスなら調子がよくなるのですが、根本的に変えていくようなトレーニングをすると、一時的にバランスをくずし、調子の悪くなることもあります。
自己流で泳げている人に、コーチが正しいフォームを教えたら、一時は、泳ぎにくくなり、記録も上がらなくなくなるでしょう。ふつうは、バランスがとれず疲れます。
ここでメキメキよくなるのは、自己流というのがひどかった人だけです。そういう人がヴォイトレにも多くなってきているので、問題がややこしくなるのです。
ここで正しいというのは今日結果が出るので正しいのでなく、将来、今とは比べられないくらいに飛躍した、よい結果が出るので正しいということなのです。それを今日だけでみるなら間違ったフォームとさえなります。