ヴォイトレは、スタートもゴールもあいまいなままスタートすることが多いのです。トレーニングのなかでは、そこを整理して自分の位置づけや目標を、より具体的につかんでいけるようにしていくことが目的の一つです。
「レッスンでは、メニュや方法を用いて、目標と現状の間にあるギャップを埋める」というと当たり前のようですが、現実には、とても難しいことです。
全体の把握なくして、きちんとした位置づけはできません。
サッカーなら「強いシュートを打ちたい」ということを目的として、練習で強いシュートを打つことだけをやっても、他の要素も整えない限り使えません。PKのように無防備のなかで打てるシュートは、ほとんどないからです。ボールを受けてシュートに持ち込む、パスを受けられるところに走り込むなど、「シュート」するために、たくさんの条件がついてくるからです。シュートが打てても「試合がない」「試合があっても、試合に出してもらえない」など。総合力がまったくないシュート請負人などはいらいでしょう。
スポーツや楽器のプレイヤーなどでは、当たり前のことが、声のレッスンにおいては、とてもいい加減に扱われていることが少なくないのです。