私は、最低で5年間がトレーニングでの実績、レッスンの最初のステップでの判断の目安だと思っています。どの世界でも、3年くらいは、初心者から一歩抜けたところ、一通りものがみえるようになった程度にすぎません。オリンピックであれ、まともなレベルの競技であれば、経験3年以内では、優勝はおろか、出場できる人は稀でしょう。将棋や碁でも、噺家でも芸者、医術、武道でも、何らかの一芸、一道、一分野で頭角を現すのに、必要な単位は、10年が最小ではありませんか。
専門的な教育を受けずともデビューはでき、勘がよければ現場だけで力がついていく、数少ない分野が役者や歌手です。
そのため、そこに関わるヴォイトレも軽視されています。トレーナー自身の経験においてさえ、大半は、あまりに絶対量が少ないです。ヨーガの初心者かスポーツインストラクターの1年目くらいのスタンスでやっている人も少なくないのです。資格もないので、入ってきた生徒さんをいきなりトレーナーとして雇うようなスクールも珍しくないくらいです。
最近はそういう人が、ここにも学びにくるので、あたりまえのことをあたりまえに言うことが多くなりました。せめて、音大を出たくらい、といっても、音大を出たくらいでよいと思われると困るのですが、3、4年くらいは、舞台や社会経験をも踏まえてほしいです。他人の指導を受けたり、指導者の横で学ぶ必要があるように思います。