私たち日本人が外国語の習得、特にヒアリングと発音に弱いのは、アグレッシブとはいえない控えめな性格や、同一民族での農耕生活であったことからの必要のなさ、学び方(教育)にあります。私にはその結果とも思えるのですが、日本語が音声としては、いたってシンプルな体系であることです。それで、より複雑な発音体系を持つ言語は習得しにくいのです。
逆に、日本語を学ぶのに、欧米人などは漢字、カタカナ、ひらがなにため息をつきますが、中国人は漢字を彼らほど大変と思わないものです。
母音を5つに、しかも曖昧にしか区別していない日本人が、たとえば、アだけで5つ、母音が26もある英語に悩まされるのは当たり前でしょう。韓国人、中国人は、子音に強い息を使うのですが、それだけでも日本人よりは楽です。
長年、日本に住んでいても、どこの外国人かわかってしまう発音のくせや、その組み合わせというのは、だいたい母語にない音からです。母語の中で似たものを代用しているからわかってしまうのです。私たち日本人がLもRもラで代用しがちなのもそういうことです。
とはいえ、人間の発声や器官の構造は、それほど大差ないといえます。機能としては、絶対に発せられない外国語の音はないのです。
実際のところ、日本語の日常会話のなかでも英語に必要な発音のほとんどは、すでに使っています。ただ、認識していないので、そこだけ切り取ったり並べ替えたりできないだけです。発音の能力は、この認識ができているかどうかからです。それで聞き取りも発音も左右されるのです。